仮面ライダー BLACK (原作版)

仮面ライダー BLACK 1登場作品:
「仮面ライダーBLACK」


名称:
仮面ライダーBLACK(自称)。ゴルゴムの認識する正式な名称は不明。
BLACKはコウモリ怪人の命名で「黒いの」ってこと。”裏切り者”というイヤな (笑) 呼ばれ方もしばしば。
人間体は南光太郎

Story
秘密結社ゴルゴム(*1) は人類を破滅させ、残された世界に彼ら自身が人為的な処置を施し進化させた新人類 (怪人) を放ち彼らの理想社会を建設することを目的とする秘密結社である。ゴルゴムは彼らの王 (*2) の命じるところによって新たな盟主を生み出そうとしていた。
古都大学の学生で (*3) 空手の名手南光太郎は幼い頃その父母光雲と友子 (*4) を航空機事故で失った後、同じ日・同じ時刻に生まれた親友秋月信彦の父総一郎の家に引き取られ信彦の妹杏子ともども家族同然の扱いを受けてきた。光太郎と信彦は総一郎に薦められるまま空手の大会に出場するため向かったニューヨークでゴルゴムに連れ去られ、彼らの改造手術”再誕の術”を受けた。光太郎は改造の途中自力で脱出に成功し、逃れた先、ニューヨーク地下下水道の中でTV番組「リバースワールド」ディレクターのサムとケイトに出会った。彼らはそこで異形のワニ怪人と出会ったが絶対の危機に光太郎は緑のバッタ人間へと変貌し、更に興奮した彼は体色を黒に変え圧倒的な力で怪人を打ち倒したのであった。光太郎は自らを改造したと思われる工房を発見しそれを壊滅させたものの、改造のショックか殆どの記憶を失っていた。光太郎はサム等スタッフとともに世界の裏で生じる怪奇現象・怪事件を追い、その中で秘密結社ゴルゴムの存在とその野望を暴いていくことになった。
記憶を取り戻し日本に帰還した彼は、京都で義父総一郎と出会う中、自らがゴルゴムの王候補として信彦とともに同じバッタ人間の姿に改造されたこと、いずれはその信彦と戦う運命であることを知らされるのであった。光太郎は自らをゴルゴムに復帰させようと企てたオニグモ怪人(総一郎) と戦い、これを破るのであった。
リバースワールドの取材で中国湖北省に赴いた光太郎はそこで湖許仙と名乗る拳法の道士に出会った。彼は光太郎の肉体の秘めた力を引き出していったが、彼もまたゴルゴムの使者であった。許仙は光太郎を”覚醒”させようとしたが光太郎はそれを拒否した。竜怪人と化した許仙と大量の怪人に囲まれた絶対の危機の中、光太郎は自らの額に生めこまれた”賢者の石”を発動させ、圧倒的なパワーで勝利するのであった。
帰国後東京に出向き大学の先輩大門五郎に自らの境遇を告げた光太郎であったが五郎はそんな彼に自作の超バイクを託し、彼に”正義の味方”となることを薦めるのであった。信彦のかつての恋人でゴルゴムによって改造されネコ怪人となり改造の副作用で発狂した紀田あゆみと戦った光太郎は自ら仮面ライダーBLACKを名乗り、ゴルゴム壊滅の決意を新たにするのであった。
ゴルゴムとの戦いの日々が続く中、ある日唐突に信彦が帰還した。彼もまた自力でゴルゴムを抜け出したという。親友との再会に喜びを感じる一方で信彦の言動に不安を抱く光太郎…。信彦もまた自分と同じ姿、黒いバッタ人間に変身することができたのである。
…光太郎は夢の中、未来からのメッセージを受けた。送り主はオーストラリア原住民アボリジニのグム等であった。彼らは光太郎に自分たちの属する2020年前後の世界を示した。1999年7月 (*5) ハルマゲドンは、起こった。そしてその原因となった最初のミサイルはこのオーストラリアから発せられたという。夢の中、光太郎は自らの前に立ちはだかった”魔王”を見た。それもまた、黒いバッタ人間の姿をしていた..(*6) オーストラリアに出向いた光太郎は夢の中で見た魔王達の救う場所、デビルス・ロックに出向いたが、そこにはまだ魔王の気配はなかった (*7)。帰還した光太郎に対しゴルゴムはあの手この手を用いて信彦と闘うよう要求したが光太郎はそれを拒絶し続けた。一方で信彦はどうも、光太郎との闘いを望んでいるようなのだが… (*8)。二人の友情を信じる光太郎は信彦に共にゴルゴムと戦うことを求めた。信彦はそれを受け、やがて二人は世界を廻りゴルゴムの基地を次々に叩いていく。しかしその戦いの中、巨大なコウモリと戦った光太郎は謎の力でグム達の未来世界 (2020年前後) に跳躍してしまった。光太郎は再会したグム等の求めに応じ、魔王と対峙した。共に賢者の石の力を制御しその超破壊力を引き出すことができる二人の死闘は熾烈を極めたが、闘いの最中光太郎はまたも時空を超えてしまった。
彼は7年後 (1994年) の世界にいた。既に全地球規模の環境異変が生じており (*9) 人類の命運はもはや風前の灯火であった。光太郎の前に現れた信彦にもはや迷いはなかった。彼は光太郎を愛する妹杏子の眼前で変身し、光太郎を攻撃した!
…テレポートした光太郎は1999年、ハルマゲドン目前の御台場にいた。グム等は思念の力で光太郎の元に現れ、この基地にあり魔王として覚醒しようとしている信彦を倒すことが、彼らの人類の最後のチャンスであると告げた。そして、魔王のマントを羽織った”信彦”が現れた。彼は光太郎に杏子の死を、人類の死を告げた。絶望の中、光太郎と信彦は最後の死闘を開始した。二人の超破壊能力が炸裂した!
…勝ったのは光太郎だった。彼の前に信彦の首が語りかける。「オレが死ねば、お前が世界の王となる..」
…未来は変えられたのであろうか? そもそも、未来で自分と闘った魔王は、果たして信彦であったのだろうか? 或いは…。
彼は叫ぶ。「教えてくれ。 俺は、誰だ?」

能力:

仮面ライダー BLACK 2 仮面ライダー BLACK 3

バッタの超筋力のもたらす怪力、凄まじい脚力がもたらすスピードと跳躍力、高い硬度と衝撃吸収能力を誇る強靭な皮膚を与えられたゴルゴム最強級の改造人間がBLACKである。
ゴルゴムの怪人はいずれも遺伝子レベルで肉体を改造されており、その結果として身体を構成する全ての細胞が”意志”と”行動力”を持つに至っている。改造された”意志をもつ遺伝子”は主がその意志で”スイッチを入れる”ことで塩基配列を爆発的な勢いで並べ替え、瞬時にその姿を別のものへと変容させていくのである。
BLACKの場合通常は人間体からその衣服を突き破って、まず緑色のバッタ人間へと変態し、その後怒りや興奮をきっかけに黒い強化形態へと再変形する。戦闘に際しては手足の鋭い爪を用いた荒々しいファイトスタイルを身上にしている。なお腹部にあり通常時は折りたたまれている4本の副腕は必要に応じて自在に動き、それ自体もかなりのパワーを秘めている。BLACKの視力聴力皮膚感覚、特に空間把握能力は変身時はもとより人間形態時より極めて鋭敏なものへと強化されている。
後に中国での修行を経て、彼は人間体のままでも超人的な体力を行使できるようになり、同時に変身も瞬時にこなせるようになった。さらに額に埋めこまれた王の証、凄まじい魔力を秘めた、”賢者の石”(*10) を制御することが可能となったことで、様々な超能力を駆使できるようになった。その力は超絶的な破壊力を引き出す一方で生命体の持つオーラに自らの強烈なオーラを放射することで対象生物を瞬時に気絶させたり、果てはその力だけで対象を殺傷させることも可能であるという。またオーラの流動を制御することでオーラの動きの後に生じる風を自在に制御することも可能である。
およそ40年後の世界に在る魔王の場合、更に念動力や幻覚を見せる超能力も体得しているようである。

備考:

仮面ライダー BLACK 4 仮面ライダー BLACK 5


連載時から読んでました。で、単行本も買ったのですがある大掃除の機会に捨ててしまい、その後文庫版が出ていたのでこれを購入しましたがこれも昨年の引越しの際に捨ててしまいました(笑) で、最近TV版BLACKを作った後に某雑誌や石ノ森全作品解説みたいな本を見ていて原作版BLACKの異形に改めて心打たれました。連載読んでた頃から決してかっこいいとは思っていなかったものですが、その妙にヒーローぽくない、”バッタに忠実な”デザインは、今改めてみるといいなぁ。石ノ森氏の描いたスカイライダーの初期デザイン画を最近見たのですが、下半身は服着てるけど上半身はモロにバッタ (つーかイナゴ) してて正直気持ち悪いんだけどこれがかっこいい!BLACKの場合はよりバッタバッタした頭部の形状と腹部脇に律儀に張りついた副腕、更に腹部の描写がなんかブヨブヨした感じで気持ち悪!なのですが、それがまた妙に、心惹かれる今日この頃…。真も充分異形だよなと思ってましたがやっぱこっちですわ。真てのはデザイン上かなりこのBLACKを参考にしていたのだなということもこの機会に気付いた次第です。
ストーリーも、中学生の頃読んでいた感じとは今読むと大分違ってますね。ダークな、ひたすら絶望に向かうストーリーもいいですが、初期の、世界各地を移動しながらってノリもなんかある時期のサイボーグ009みたいでいいなー。エッダ編とか、好きだったなぁ私。
戦闘自体は意外にいつもあっさり味なんだよね、石ノ森氏って。でもそれぞれアングルとか描写とかはいつも凝ってて、楽しませてくれてました。それよか何よか初期の、怪人がすんごく、いい。コウモリ怪人、カマキリ怪人、オニグモ怪人がもー最高!これぞ異形!これぞ怪人って感じの見てて不快にすらなる (笑) 直球の異形です。中盤終盤の数だけは出てくる木っ端怪人はほんとにもーそれこそサイボーグ009ノリの手抜きザコ!って感じでダメですが (終盤唐突に出たクワガタ怪人には失望しました。でも腕がツノってのはなかなか斬新かも..)、あのテンションで昆虫怪人中心に出して、その異形を楽しめるよう世界旅行ノリでやってくれたらよかったのにぃとか今になって要望出したくなります。
でもあのラストも嫌いじゃありません。

作品紹介:

仮面ライダー BLACK 6

仮面ライダーBLACK(原作版)


可動箇所:通常のフル可動(14)+肩基部ボールジョイント(2)+両手首回転&スィング(4)+腹部スィング(1)+膝上部回転(2)+膝ニ重関節(2)=(25)


仮面ライダーラインで製作を続行する中、唐突にこいつも作りたくなりました。で、原作文庫版また買っちまいまして、それを元にデザインを検討してから製作開始。
胴体等にはCORPS、の、更にバッタもんの謎フィギュアを使用。JOE、CORPSよりも更に可動部の処理がデタラメ (笑) まー動けばいいけどね、補強とかはこっちでしますしね。いつもの要領で腹部スィング可動ギミックを作製して、腰部回転関節も入れます。首関節はちゃんとしたCORPSのもの。これを聖闘士星矢素体胸部に穴を開けてむりやりブチ込みます。頭部はシャドームーンに使用した装着変身仮面ライダー旧一号のマスクをもとに眼をやや大きく、口部を新造して後頭部をかなり大型化させて完成。胴体には胸部、腹部と筋を入れていきます。背中にはスパイン(後述) を植えます。5本。胸部脇と腹部脇には副腕をプラスチックを溶かしながら造形します。肩関節は聖闘士星矢素体のママ。今回は対象の造形を考えるとこれがベストかなと。なもんで肩基部がボールジョイントで多少動きます。このジョイントはバネ入っているのでヘタらなくてよひ。この肩パーツを造形し直して二重の肩アーマーを造形します。肘関節は先述のバッタCORPS。関節のすぐ下に今度はスパイラルゾーン素体の足首関節を入れます。これで回転&スィング。最後に先っぽに手首を。これは1/72グリフォン(パトレイバー) のものを核に全体に小さく造り直したものです。下腕部には最後にスパイン (トゲ) を5本ずつ植えていきます。これは可動素体として買った5インチシルバーサーファーフィギュアについてきていたなんか緑色した宇宙人?の背中に生えているトゲトゲです。のときは普通のプラスチックで造形していきましたが、こういうとこは軟質素材性のこうしたパーツを植えて念入りに固定した今回の方が強度的にも造形的にも正解だったようです。上腕部には盛りあがった血管?みたいな筋を入れます。また肘部には肘ガード状のアーマーを追加造形しました。股関節は毎度マンガ・フリーク。関節の腰側に若干可動を阻害する可能性を考慮しつつも腰ガード (アーマー) を造形します。肢です。腿に回転関節を付けますが、その上には腰同様可動を阻害するかもと思いながらアーマーを造形します。膝部の関節は装着変身仮面ライダーです。関節上部に若干関節を保護する感じでアーマーを造形し、膝上部(外側) にはバッタ独特の(真にもある) 筋を入れます。脛はほぼ素体のママで細い!という感じを保たせつつ若干の膨らみを与えてデザインに概ね忠実な複雑な造形にします。脹脛にもスパインを5本ずつ生めこみます。腕と肢のスパインは7本に見えるときもあったのですが少ないときは5本でした( 笑) ちなみに背中のスパインは中国で修行するまでは現れてはおりませんでした。足首関節は脛同様細い!感じを維持するために女性フィギュア製作用に温存しておいたヴィンディケイターの足首関節。足も同様です。足は爪先を切断し、プラスチックを溶かしながら新たに鋭い爪を造形していきます。足そのものにも筋を入れます。踵もやや大型化します。
…完成。胴体部は太く不恰好に、手足はあくまで細く!とまあかっこいいの文法を無視したデザインですなぁ。
塗装です。基本色として全身をまず焼鉄色で塗装し(関節部等はその後もそのまま)、その後黒を塗っていきます。口、腹部、肩以下の上腕部、スパイン、手等は黒鉄色、残りはメタルブラックです。眼はいつものようにシルバー地にクリアレッド。

かなり複雑なつくりの股間/脚部です。やや可動が阻害されましたが原作ノリの肢になったと思います。
まーアレですね。黒いし先入観抜きで見るとなんかゴキブリみたいですが (笑) かっこいいというよりも”それっぽい”です。無論、気に入りました。


仮面ライダー BLACK 7

*1:TV版とは異なり創立五万周年 (笑) 等の設定はない。人類を滅ぼし、残った世界に思い思いの姿で君臨せんとする”人間による”結社であると考えられる。

*2:光太郎と信彦の改造シーンに出てくる眼がそれであるが、彼はその後物語に姿を現さない。賢者の石によって時空を超える力を得た”魔王”たる光太郎/信彦のいずれかが、「自分自身に」語りかけていたのであろうか?

*3:後に出てくる「先輩」大門五郎が古都大学出であり、光太郎や信彦は京都在住であることからもほぼ確実であろう。

*4:何気にTV版と父母の名前が違う。

*5:ちなみに本作は1987年に発表された。

*6:このシーンで出てくる魔王の姿はBLACKと若干違っている(上腕部の形状等) 。しかしその後光太郎と対決する魔王の姿は光太郎と同じものとなっている。

*7:カメレオン怪人には実質敗北してるんだよなーBLACKって。しかしカメレオン怪人ってば人間体の外見だけでアレ系の能力者であることがわかる。継続って偉大だ (笑)

*8:信彦は脳改造を受けたのであろうか?よくよく読むと必ずしもそうは言えないような気がする。そもそもゴルゴムの改造に洗脳が含まれているのか? この物語の中で明白に語られたことはないのである。また光太郎が行方不明になった7年間、妹杏子は兄の振る舞いに不審を感じることはなかったようである。…考えると暗くなるなぁ。

*9:信彦は自ら継いだ会社を通じこの地球規模の環境破壊に貢献していたようである。

*10:賢者の石は二つあり、光太郎と信彦、二人の額に埋めこまれている。互いに闘い、勝利した者が相手から石を抜き取り、これを自らの石と合わせることで真の魔王の力が解放されるという。


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